ハロプロ楽曲大賞2021、私的部門賞はこんなだった


第20回ハロプロ楽曲大賞'21
「ハロプロ楽曲大賞」とは、ハロプロアイドルが1年間に発表した曲をみんなで順位付けして楽しもうという催しです。今年で20回目。
 

ハロプロ楽曲大賞'21お疲れさまでした。2021も楽しませてもらった楽曲群に、掲題の賞を僭越ながら贈ります。

ブライテストホープ:河西結心

ナルシスティックで微に入り細に入ったヴォーカルテクニックを駆使するメンバーというのはこれまでも何人かいたけど、そうした個性の持ち主でないともはや即戦力にはなれない、という方向にハロプロを決定づけるルーキーが入団してしまったかな、と。それは、かつての中西香菜のように磨けばとんでもない歌心を発揮するメンバー(最近だと広本瑠璃にそれをちょっと感じる)が爪を研ぐ猶予を与えてもらえなくなるかもってことと両刃の剣でもあり…。良かれ悪しかれ、将来の潮目を変える存在のように思う。

次点で山﨑愛生。「TIME IS MONEY!」を聴けばその期待の高さが分かろうというもの。

ベストアルバム:3-STARS

『Let's Say “Hello!”』のクライマックス、「テーブル席空いててもカウンター席」~「「恋したい新党」」と同種の興奮へ「アニマルランド」~「ミステイク」が連れていく。「トワイライト・ブルー」の歌の弛みのなさはどこからどう聴いても正規グループレベル。ラストは軽快な「色とりどり伸びよ!!」でアルバムを簡潔に締める。完璧。もちろん前半も佳曲だらけ。「きみの登場」でサビ直前にごく小さく鳴る“オ゛ゥ!”という叫び声サンプルは今後も研修生のサインとして常用してほしい。

ベストアレンジ:純情エビデンス

メロディやコードワークは平凡かもしれない。しかしこの曲には鮮烈なスペーシーさがあり、存在感は確かに際立っている。MVもスペーシーさを強調した演出になっているということは、音楽が指向した方向性がMV制作班にちゃんと伝わった証なのだろう。それはいいアレンジだったということに他ならないはずだ。

次点で「真夜中のメリーゴーランド」。

ベストアレンジャー:江上浩太郎

毎年2曲くらいしかアレンジ担当曲がエントリーしない人だが、2021は倍増して4曲。常連アレンジャーの一角を今後占めるか?

ベストインストゥルメンタル:ギューされたいだけなのに

ベンドダウンするシンセと同時に前奏なしで始まる歌がインパクト大だが、ピアノ低音部で終わるアウトロまでキャッチーなフレーズで埋め尽くされており、サービス満点お腹いっぱい。

ベストイントロ:きみの登場

2小節で曲のビートとムードをしっかり伝える機能的なイントロ。必要にして十分。

ベストカバー:はっきりしようぜ



2拍4拍のバックビートに基本的なアクセントを置いて、あとは根本要にその間の泳ぎ方・味の出し方はヨレ込みで任せる、というオリジナルと、16のオモテすべてをきっちり強調するアンジュルム版とではリズムの難易度が段違い。そのうえ意外とBPM遅くないし、よーやるわこんな激ムズカバー。

ベストコスチューム:こんなハズジャナカッター!


メンバーカラー衣装と、まったく関係ない色をまとうメンバーとが混在してる。でも皆似合ってる。こういうのは高度なスタイリングというのではないのかな。

ベストコライト:アニマルランド

『あしたの音楽』(bayfm)でShusuiは「ミラー・ミラー」のコライター・Kalle Perssonは旧知のAnders Dannvikの弟子筋で、彼からコライトに参加させたいと請われて了承したものだと言っていた。「アニマル-」のKimnyとRyo Itoもそうなのかどうかは知らない。

ベストコーラス:Hey! Unfair Baby

高音コーラスが生きるのは、当たり前だが下降する主メロの低音を確実に出せているから。揺るぎない成長を感じ取れる一曲。

ベストコラボレーション:鈴木愛理×Blue Vintage

歌が始まってすぐ、“そこがまたいいのかも”の後に入るJ.Speaksのはにかみ笑い声があまりにリア充すぎて毎回笑ってしまう。2コーラス目の同じ箇所に鈴木愛理の笑い声が入ってるんだけど、完全に負けているのが面白い。



ベストコレオグラフ:はっきりしようぜ

後ろ向きV字の中央から外に向かって順に片腰に手を当てながら前に振り向く間奏大好き。

ベストコンポーザー:中島卓偉

「マサユメ」「きみの登場」「ミステイク」「風のブーケ」…打率高っ!

ベストジャケット:SAYUTOPIA

美術作品として後世に残りそうな風格すら感じる。


ベストセルフカバー:がんばれないよ(植村あかりソロ Ver.)

胴鳴りする歌。恵まれた体躯がこのまろやかさを生んでいるのだろう。

ベストソロヴォーカル:浅倉樹々 - 涙のヒロイン降板劇

奥津マリリばりの響き。Cattivo!方面でなくこっちに開眼したのか、という嬉しい驚き。

ベストタイトル:未来のフィラメント

よく分からないけどイマジナティヴ。それってタイトルの重要な要素だよね。

ベストプレイ:はっきりしようぜ

ラクダに乗せられているかのごとき特徴的デコボコリズムを、キックとのコンビネーションで作り上げているベースがとってもグッド。

ベストフレーズ:“ほんとは学校があんまり好きじゃない” - トワイライト・ブルー

歌い出しからこのフレーズで始まる。誰が言っているのか、自分なのか相手なのか第三者なのか、もし言ったらという仮定なのか、モノローグなのか。背景が分からない状態で出てくる言葉だから、一瞬で想像が飛び散る。演出の妙というやつ。

ベストプログラミング:DOWN TOWN

ドラムの基本パターンが心地いい。2拍4拍のスネアだけでずっと聴いてられる。

ベストプロデュース:はっきりしようぜ / 泳げないMermaid / 愛されルートA or B?

意外なくらい新メンバーを前面に出さない9期初シングル。なのにファンの不満があまり表面化しないのは、それこそアンジュルムというグループのどこがどういう層に何故ウケているのかをプロデュースサイドが大方分かっていて、地雷を踏まないよう注意を払いながら制作したからだろう。

ベストミックス:泳げないMermaid

インストゥルメンタルを聴いて判るのは、Aメロで“ユラユラ”“クラクラ”“ヒラヒラ”“ジンジン”“心身”“キラキラ”との掛け合いで鳴るシンセオブリの驚くほどの控えめさ。オケでは必要以上に大きな音を出さず、しかし完成形ではヴォーカルとの対比で十分に印象的に聞こえるようにバランスを取ってある、だなんて、これ匠のミキシングでは。

次点で「真夜中のメリーゴーランド」。

ベストメロディ:二年前の横浜駅西口

Aメロ、Bメロ、サビ、すべてを尻切れトンボにすることによって、『今の耳でDigったなら良質なシティポップとして価値づけできたろうが、当時はメロディのキャッチーさが中途半端という一点であまり評価されずに、中古盤屋の捨値コーナーに直行になったきりの昔のLP』らしさを人工的にシミュレートするという、かなりアクロバティックな作曲。

ベストユニゾンヴォーカル:激辛LOVE

溶け合ったユニゾンを聞いているつもりが、いつの間にか小林萌花の声に耳奪われ、そのうち山﨑夢羽に移り、かと思うと岡村美波が浮かんでくる…そうそれはまるでカレーの大鍋をかき混ぜるように(なんのこっちゃ)。転調後のサビが特にくせに、もといトリコになる。

ベストリリシスト:つんく♂

ボーイ、老いてますます意気軒昂。『That's J-POP』マジで全詞いい。

ベストリリック:泣き虫My Dream

つんく♂ほどの手練れであれば、ノリノリの曲相手なら普通、一箇所くらいはキラーフレーズを書けちゃうものなのかもしれない。でもこの曲は、落ち着いたミドルナンバーなのに胸打たれる素直な言葉の宝庫。そこが素晴らしいし、主人公のことが好きになってしまう。

ナイスハロヲタトレイニー内検索