果たして、希望も叶わず、予想も外れ、モーニング娘。13期メンバーに選ばれたのは加賀楓と横山玲奈となった。何が驚いたって、二人とも中2以下でなかったことだ。中2以下でないということは、来春以降、モーニング娘。に中学生がいなくなることを表す。引き続きの最年少・羽賀朱音の中学卒業に伴い。つまりJC的かわいらしさ需要をモーニング娘。は捨てた、ということである。リアルJCすらいないわけだから、当然のこと、新人がランドセルを背負うこともないわけだ。そういうのがお望みでしたら、他をお当たりください。カントリー・ガールズなんかいかがですか?といったところなのだろうか。
鈴木香音一人が卒業しただけでグループが急に女っぽさを身にまとい、セクシーさを正面から隙なく表現できるようになったのがモーニング娘。'16の下半期だった。そしてそれを如実に表したのが「セクシーキャットの演説」、特に通常盤Aのジャケ写だった。
やはりあれは到達点だったのだ。譜久村聖や石田亜佑美はすぐ感極まるタイプだから、彼女らがステージ上で泣いたって、そこに特段の意味を見出すのは難しいが、それでもやはり、彼女らを嗚咽させるほどの『'16へのプライド』は厳然としてあり、そしてその心中の象徴は62ndシングルだったのではないか。たぶん、「EMOTION IN MOTION」ツアーと62ndシングルと「MY VISION」ツアーはメンバーにとって非常に大きな、モニュメンタルな自信になったのだと思う。それは1年ぶりのオリコン週間1位を獲れたことでより強化されもしただろう。だからあれほどしつこく『今の11人』と繰り返していたのだ。
ただ、13期の人選は、だからこそ極めて意外だった。メンバーが『今の11人』の価値を強調するのは、その季節が終わってしまう切なさからのみならず、『中2以下の新人が入ることによって、'16の下半期がモノにできていた境地が再び遠退いてしまう、武器をまた一つ失ってしまう』--そのことをリーダーはじめ大多数は解っていたからなのではないか、そう思っていたから。
しかしエグゼクティヴプロデューサーはここで『中学生は要らない』という判断を下した。ランドセルを背負わせたり三輪車を漕がせたりする必要はないと見切ったのだ。これはもう、'17の方向性が実質的に決まったようなものだと思う。直截なセクシーではないにしても、大人っぽい路線でいくことは間違いないのではないだろうか。セクシーな魅力をべつに最年長メンバー一人に頼っているというわけでも全然ないので、仮に2017年に年長の誰かが辞めたとしても基本路線は大きくは変わらないだろう。
JC的な幼さで推さないということは、つまり、『JCが既に遥か遠くなった年長組も、活躍の猶予が延びる』ということでもある。25歳定年制とやらが真実とは思わないが、それを一つの基準として借用すると、最年長・飯窪春菜が25歳でいる間までは、現在の陣容のままで活動を継続できる、ということになる。2020年初秋だ。それまでに不慮の事態で辞めるメンバーはそりゃもちろん何人かは出るだろうが、概ね固定メンバーで、パフォーマンスを完熟させていける可能性が出てきた。もしかしたらUFP / UFGは、プラチナ期を再来させようと本気で狙っているのかもしれない。
といったように、いろいろなことが一気に解った気になった13期発表だった。