ハロー!プロジェクト2017新体制決定に寄せて



ハロプロの2017新体制は上のとおり決まった。

--と書き出していいのだろうか、というのが先ず言いたいことだったりする。だって、一岡伶奈は、新グループのリーダーになるということのみが決まっただけで、新グループとやらの他の面子はおろか、人数も、グループの結成時期の目処も、何も決まっていないじゃないか。これからかき集めるメンバーのほうに、もしかしたら、一岡伶奈よりリーダー適性のある子が混じっているかもしれないじゃないか。

これほどの不定状況でありながら、それを振り切ってでも、2017年上半期のうちに新体制を決定した、というアリバイが欲しかったのだろう。そのように理解した。何故そのように急いだのか、の理由には生憎あまり興味がない。読者諸賢にて推察してみていただきたい。

川村文乃のアンジュルム加入については個人的に希望していたとおり。スマイレージ1期2期は、シュガーコーテッドなキャンキャン声を欲していたつんく♂により、そのようなメンバーばかりが--もちろんど真ん中のキャンキャン声担当者だけでなく、バリエーション声担当者も含まれたわけだが--集められ、そしてその甘ったるく耳に痛い声を存分に活かしたシュガーコーティングなオールドファッションドポップスが作られてきた。そして、アンジュルムへのリニューアルを見越したスマイレージ3期からは、ヌケの悪い声でなければべつにどんな声でもいいや、それよりキャラクターが際立って魅力的であれば、という観点でメンバーが集められるようになった(上國料萌衣がとても清冽な声をもっているのは偶然)。しかし、福田花音・田村芽実の連続卒業により、にわかに、「このままでは遠からず、スマイレージの『シュガーコーティングなオールドファッションドポップス』を担える声のもちぬしが絶えてしまう」リスクにリアリティが湧いてきたのである。

今はまだ和田彩花がいるからいい。しかし最年長者でもあるのだし、いつ卒業するとはいえなくとも、相対的には早めに卒業するほうの人、ぐらいのことはいって差し支えないはず。であればこそ、『シュガーコーテッドなキャンキャン声』のもちぬしを早晩補充せねばならなくなる。そこに該当するのは川村文乃しかいない、と従前から思っていた。

そういう意味で、川村文乃の加入は筆者の願ったとおりになった。船木結については、案外、つばきファクトリーが似合うはずと最近思うようになっていたので、アンジュルムに入ることになったのは意外である。つばきファクトリーが似合うというのは、「就活センセーション」を聴いてから思うようになったことである。もし「就活センセーション」未聴の人がいたら、ぜひ聴いてみてほしい。

今回、こぶしファクトリーとつばきファクトリーには改造がなかったわけだが、それは、最近のメンバーブログをちゃんとチェックしていれば容易に予想できたことといえるかもしれない。Juice=Juiceメンバーの決意溢れるブログに較べてなんとお気楽だったことか!特に、メンバーの出入りなどがあったらブログ上で冷静を保つことなどできようはずがない度において右に出る者がない田口夏実、その田口夏実を擁するこぶしファクトリーのブログがあんなにマイペースであった時点で、結論は出ていたようなものだったといっていい。逆にいえば、Juice=Juiceへのメンバー追加があったのであろうことを覚悟できていなかったならば、それは読者のほうがおかしい、ということだったのだろう。やれやれ。

Juice=Juiceについては、人選をしたスタッフのお手並み拝見、という思いである。段原瑠々はJuice=Juiceの曲調が一番合っているとは思えないし、また、梁川奈々美は、残念ながら今の歌唱力ではJuice=Juiceにはまったくついていけないだろう。声量やピッチコントロール以前に、リズムに乗れないと思う。それでも入れられてしまったからにはついていけるよう努力し続けるしかないわけだが、とりあえずレパートリーをちゃんとリズムに乗って歌いこなせるようになるまで何年かかるか。しかもカントリー・ガールズよりはアップテンポな曲を、踊りながら息を切らさず歌えねばならない。そしてその頃にはオリジナルメンバーの5人はさらなる高みに上っているわけで、その差はいつになったら縮まり、均整のとれたユニゾンハーモニーに再到達できるのか。一度手にしたはずのそれを破壊し、再度スタートラインに立つことに、何か合理的な必要性があるのか。

梁川奈々美のビロードのような美しいヴォーカルは、「ピーナッツバタージェリーラブ」のような(これこそが梁川奈々美ヴォーカルの白眉)ミドルテンポでシンプルなリズムと、高い音域、揺らめきのあるメロディラインでこそ活きる。Juice=Juiceのようなキビキビしたリズムとメロディが多い曲調のグループで彼女は苦戦するはずだ。何故買う必要のない苦労をわざわざしなきゃいけないんだか…。



段原瑠々は、Juice=Juiceについていけないとは思わない。ただ、モーニング娘。の曲調のほうが明らかにより似合っているので、なんで一番似合っていることをさせてあげられないんだろう、という思いが拭えないだけだ。

そのモーニング娘。には森戸知沙希が加入することになったわけだが、彼女のストレートな(棒ともいわれる)唱法は、力むことがアイデンティティのようになりかけていたこぶしファクトリーの中でこそ、キレイな異物として活きただろうになと思う。モーニング娘。のなかでは、あくまでヴォーカル面に限っていえばだが、1/14以上でも以下でもないという存在に埋没してしまうだろう。キャラクターとしては、あの清潔で高純度なプレーンさは人気を得るのかもしれないが、そこらへんの見立ては読者諸兄に譲る。

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