“こいつはまあこんなもんだろ”と足下みられていていいのかいガールズ?ビーアンビシャス野心的になれよ

ヴォーカルレコーディング映像を観て気づく






これは大変鋭い。ここに気づいている人どれだけいるだろう。

そう、たしかに、旧MUSIC+アプカミで観れるヴォーカルレコーディング風景では、“えっ?こんなんでOK出しちゃうわけ?”というシーンが多い。それほどまでにスタジオのスケジュールがパツパツなのか、それとも、長年の経験で『キャリアの浅い若手ほど、テイクを重ねれば重ねるほどボロボロになっていって、本調子に戻ることはまずない』とわかっているからなのか。いずれにせよ、なんとなればPro Toolsでどうとでもエディットできる--というセーフティポケットがあるからそれは成立するんだろうなあ、と思っていた。


Pro Tools

仮歌→レコーディング→パフォーマンス、どこがボトルネックでどこが辻褄合わせダッシュなのか


興味深いのは、ピッチコントロールが常にフラフラなことで定評のある一部メン以外は、ライヴでの生歌だとむしろちゃんと歌えている場合が多いことだ。これは表現力の問題ではない。レコーディングの時点ではどういう歌い方が正解なのかを把握しておらぬまま手探りで歌入れを済ませ、デジタル修正を含めた完パケ音源を聴いて初めて、『自分にとっての手本』を手に入れるということなのだろう。その「手本」を以って、ライヴまでの自主練でセルフ完コピを目指し、そして実際に一定のレベルにまで達せられるだけの技術的素養は、概ね全員にある、ということなのだと思う。

それが何故、ベテランシンガーによる仮歌ではダメなのか。仮歌を聴いた時点で、歌のアーティキュレーションの最大公約数的正解を理解し、それと自分の歌とのギャップ点を把握&極力修正しておけば、短く切り上げられてしまうのが常のレコーディングタイムでも、より完成度を高められるんではないか。例えば、密室の中でガラス越しの大人達の監視の目と戦いながら歌うという異常なシチュエーションからくる緊張を打破する、という最大目標に集中する、とか。

それができない理由としてあり得るのは四つ。
  1. 仮歌のアーティキュレーションはそのシンガーの歌い癖によるもので、必ずしも本番ディレクターの好みと一致しているとは限らない。要するに、正確な音程とだいたいのアーティキュレーションが伝わればいい、という意図で仮歌音源は作られている。
  2. 本チャンの歌は、その本チャンを歌うハロメン各人の声質や音域、歌い癖によって最適なディレクションが変わる。その日その時点のその人の個性を最大限に活かす以上、ディレクションはその場でゼロベースで行われる。
  3. メンバーに、仮歌のポイントを理解する能力がない。音程も斜め覚えでしかない、とか、どこをアタッキーにするからこのスピード感が演出できているのかが理解できていない、とか、2コーラス目と韻を踏むためにこの英単語の末尾はわざと不明瞭に発音するということをいちいち指示されないとできない、とか。
  4. メンバー側に時間がなさすぎる。仮歌音源を渡されて1~2日後にはもう本番、など。
本質的には、4こそが解消されなければならない問題点なのだろう。もしそういう問題が実在しているとしたら。

実際には、3を経験の力で強引にねじ伏せながらキャリアを積んでいくのがハロメンの歩む道、といったところだろうか。かみこは、デビューシングルのレコーディングに2日用意されていたが、3日かかった、と言っていた。数作後には3時間とかからずに終わるようになっているのだろう。

しかしそれは、楽曲のパターン化を学ぶということにほかならない。逆にいえば、パターン化できてしまうくらい、歌のバリエーションがさほど多くないということであり、それはあんまり喜ばしいことではないはずだ。理想は、4がキレイに解消されたうえで、時間を潤沢にかけながら3をハロメン個々人が自宅スタジオでトライ&エラーしていく、となればいいと思う。自宅に防音室を作ってもらったあやちょがその先駆けとなることを期待。

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