ハロプロ楽曲大賞2022、私的部門賞はこんなだった

ハロプロ楽曲大賞'22お疲れさまでした。投票先以外にも楽しませてもらった楽曲群は例によってたくさんあったので、ここで僭越ながらそれらに部門賞を贈ります。

ブライテストホープ:米村姫良々

彼女の中低音域に魅力を感じている制作陣がいるっぽい感じがする。ヘタしたら1人じゃなく複数人。

ベストアルバム:terzo The Brand-New Juice 2022

粒揃いの8曲であることは間違いない。本来2枚組としてパッケージングされたアルバムの片方1枚だけ抜き出して評価することの是非はさておいて。

ベストアレンジ:自分ファースト

これは生弦で聴きたいですねー。

ベストアレンジャー:大久保薫

氏は「よしよししてほしいの」発売当日のツイートで“聴いて頂ければ進化し続けてるのが分かるはず!”と豪語していた。もちろん分かりましたともさ! 毎回ゼロベースで作り上げるわけでは必ずしもなく、手応えのあった最近の方法論を取り込み、活かす。それ故の“進化し続けてる”なのだなと。


ベストインストゥルメンタル:ハムカツ黙示録

ガイドメロ的なパートが全然なくてカラオケにはひどく不向き。聴く分にはいいけど、これで本チャン歌うメンバーは大変だあ。

ベストイントロ:I WISH

ご存知、無伴奏独唱から入る曲なので厳密にはイントロはないというべきなのかもしれないが、堂々たるヴォーカルリレーに恐れ入り。ハロプロの大人からは常に“ウチはモーニングに限らず、そもそも声のキャラ立ちポテンシャルがない人なんか一人も採ってませんが? 魅力が開花するかどうかは本人が自信もって大音声出すかどうかだけですが?”というような確信を感じるのだが、この冒頭ソロリレーからはその自信が割とクッキリ。特に石田亜佑美。牧野真莉愛・羽賀朱音もいい。

ベストカバー:雨音はショパンの調べ

原曲に結構忠実なアレンジのはずだが、何ともいえぬ不穏オブ・ザ・イヤー。

ベストコスチューム:全部賭けてGO!!


2人で入ってきた新人がグループ内身長ツートップということで両サイドに置かざるを得なかったのかもしれないが、それを逆手にとって全員パンツスーツスタイルで統一することで長身集団イメージを打ち出そうとするコロンブスの卵。しかもリーダーだけインナーを黒にして目立たせることに成功という一石二鳥でもある。実は約半数が150cm台なのでさほど長身集団でもないんだけどそこはご愛嬌。

ベストコライト:虎視タンタ・ターン

作曲家1人と作詞家1人の組み合わせをコライトとは呼ばない、とは重々承知の上だが、激緊密な意見交換をしながらでないと到底完成させられないであろうようなこんな歌を作るさまを旧来の「作曲」「作詞」と呼ぶのはだいぶ気がひけて。作曲者の中の作詞家部分を / 作詞者の中の作曲家部分を互いに常時引き出し合いながら作るのではと想像。

通常のコライトの意味でなら「G.O.A.T.」。

ベストコーラス:アドレナリン・ダメ

オケだけだとあのヒステリックさが影を潜めちゃう。浅倉樹々・小野瑞歩による上ハモが画竜点睛だったんだね。


ベストコラボレーション:JUVENILE&清野桃々姫



この調子でGO!!

ベストコレオグラフ:ビートの惑星

サビ前半のこんぺいとうポーズ(分かれ)大好き。



ベストコレオグラファー:YUKA KATAGIRI

「悔しいわ」の振付は、かンわいいポージングしたい、という欲求と、だからといってナルキャラと白眼視されるのは避けたい、そのためには曲中のかわいいキメポーズ量が最小限であってくれると助かる、という社会的都合との中間妥結点のように思える。

ベストコンポーザー:炭竃智弘

「プラトニック・プラネット」の、オブリガートも含めて隙なく貫禄に満ちたメロディメイクに敬意を表して。

ベストジャケット:ヒトリトイロ - 初回生産限定盤C

布袋寅泰の『GUITARHYTHM I』をちょっと思い起こさせる。次作はそのまんま『-II』でおねしゃす・こんしゃす。


ベストシングル:運命CHACHACHACHA~N / ウチらの地元は地球じゃん!

コロナ禍で始動を遅らせざるを得なかったグループ--というより米村姫良々--に対する濃厚な懺悔。最短距離で黄金期モーニング娘。を再来させるために当時の方法論をせめて真似るくらいのことはしなければ叶うものも叶わぬ、とエグゼクティヴプロデューサー氏は考えているのではないかな。もちろんそれが再来につながるかただのフラッシュバックに終わるかは八卦であり、芸能商売はそんな方程式どおりにいくものではないということは身に染みて分かっているのだろうが、それでも米村に夢をみせてやるために外聞をかなぐり捨てて必死こくのが大人の甲斐性ってもんだろう、違うか? という声が聞こえてきそうだ。

ベストソロヴォーカル:筒井澪心 - ウチらの地元は地球じゃん!



ちょうどMVサムネイルに切り抜かれた位置のソロパート“ここから出なくちゃ”。何というか…カッコつけが堂に入っているよね。このカッコよさは茶化せない。小田さくらの後継者が遂に現れたのか?

次点で段原瑠々「Mon Amour」。2年前の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日)で「客席がどよめく哀愁の名手」と評されたように、一般的には彼女の歌の魅力はそこなのだろうと思う。段原瑠々といえば情熱を解き放つところばかりを思い浮かべてしまうのはハロヲタゆえの偏りというやつなのだろうな。そんなことを考えさせてくれた曲。

ベストタイトル:STAGE~アガッてみな~

もし未体験なのならステージに一度上がってみなよ / ステージで極度の緊張に見舞われてみるのも一興だよ / ステージに立ってテンションffになるのってやめられないとまらないかっぱえびせんだよ / ネクストステージにとっとと歩を進めなよ というクアドラプルミーニング。

ベストダンス:石栗奏美 - 運命CHACHACHACHA~N

ラスサビターンきれい。男役経験が活きてますね。

ベストディレクション:ウチらの地元は地球じゃん!

悪目立ちのひとつもできないようじゃハナから勝負にならないぜ、という開き直りマインドが仏恥義理。「恋のダンスサイト」('00)を強烈に想起させる。窪田の“生まれキャわんなくちゃ”や間奏のすみれラップはディレクターの“ま、みんなのツボは心得てま。”宣言なのか。

ベストプレイ:ハデにやっちゃいな!

AとA'の間で鳴るセンター定位のギターがプリンスっぽい。

ベストフレーズ:“今夜の終わりが来たなら眠る 今夜の終わりがいつだかわからない”“明日の始まり眩しい朝焼け 明日でなくって今日なんだけどね” - よしよししてほしいの

結局何も手つかずのまま、ひとっつも前に進んでない、ということをこんなに洒落のめして表現するなんて、いやんボーイったらキザなんだから。

次点で「Future Smile」“夢には距離取ってらんないし むしろ詰めたい”。笑っちゃった。

ベストプログラミング:プラスティック・ラブ

シンセベースとレゾナンスクリックの絡みを単音ミュートギターが引き立てる。プロの隠し味。

ベストプロデュース:BEYOOOOO2NDS

Interlude寸劇は面白い(ド頭の“えぇ~”一発で笑わす山﨑夢羽流石)が、曲中の台詞はその分なくしてもよかった。BEYOOOOONDSの特徴を世間に分かりやすくプレゼンする必要があるので台詞は止められない、というのならシングル曲でだけ残すのでもよかっただろう。1曲あたりの時間もちょっと長い。「GOGO大臣」くらいすっとぼけていて短い曲がもうちょっとあれば。全体的にもっとタイトなら、BEYO盤とUNIT盤を分けなくて済んだかもしれない。

…などなど惜しい点は思いつくものの、ロックのアルバム文化に慣れ親しんできた耳にはプロデュースサイドのやりたいこと・面白がりたいことが前作に引き続き手に取るように分かり、嫌いになどまったくなれない。いやさ次作では必ず今作の弱点を克服してきてくれるだろうという全幅の信頼さえある。シングル曲のカロリー過多ぶりももはや愛おしい。いうなれば本作はUNICORNにおける『服部』で、てことは次はかの大傑作『ケダモノの嵐』だ!

ベストマスタリング:阿部充泰 - ヒトリトイロ

端正なサウンドでアルバム中盤以降のムードに大きく貢献。過剰に大人をアピールするでなく、やたらスローバラードに偏るでもなく、J-POPの範疇でありながらグループアイドル時代とは一線を画した落ち着きを湛えている本作に、ハロプロ卒業後の音楽的ヴィジョンを見出す後輩メンバーがいてもいいよなーと思う。

ベストミックス:虎視タンタ・ターン

ゴリゴリのゴリベースが圧倒的柱として存在。他パートは全部このベースのスパイスだぜといわんばかりの剛のミックス。

次点で「Sunset Summer Fever」。冒頭たった1小節のビート、あれ延々聴けるじゃない。

ベストメロディ:ハウリング

中森明菜、特に「I MISSED THE “SHOCK”」('88)あたりを感じさせるメロディラインがいい。

ベストユニゾンヴォーカル:大・人生Never Been Better!

ヴォーカルのノートオン / オフタイミングコントロール技術はやはりモーニング娘。に一日の長あり。単にいい曲作ろうだけでなく、メンバーのテクニカル面を試験しよう・練習させようという意図で課題曲を狙って作ってこれるサウンドプロデューサーがいるのは強いよ。

ベストラップ:田代すみれ - 運命CHACHACHACHA~N

これはめっけもん。PINK CRES.小林ひかる去りし後のアップフロントに新星現る。

ベストリメイク:GIRLS BE AMBITIOUS! 2022


ただの替え歌として時折音源化される曲ってポジションでもべつに今さら文句言われはしないと思うんですよ。でも今回リズム体まるごと差し替え、しかもドラムはプログラミング → 生っていう、その精神がね、見上げたもんだなって。

ベストリリシスト:堂島孝平

同業者である臼井ミトンが『金曜ボイスログ』(TBSラジオ、2022/10/21)で「愛すべきべきHuman Life」を評した“ただの請け仕事じゃない、命賭けて書いているのが伝わってくる”という旨の言葉がすべて。

ベストリリック:恋のクラウチングスタート

8分音符タタタン・タタタンに“う・ふ・ふ う・ふ・ふ”当てちゃうかー。こりゃもうナショクラTV CFタイアップ楽曲製作案件いつでも歌詞発注して大丈夫だな。

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