ハロプロ楽曲大賞2020、私的部門賞はこんなだった

第19回ハロプロ楽曲大賞'20 ハロプロ楽曲大賞'20お疲れさまでした。今年投票締め切りまでに間に合わなかったので、この部門賞記事をイベント終了頃に合わせて公開しようとしてるんですが、今年はいうまでもなくコロナ禍で、結果発表の仕方が全面的に変わったため、結果発表ページ公開タイミングが読めず…。オールナイトイベントじゃなくなったので、とりあえず結果発表当日23時に予約しておきます。

記事の趣旨はタイトルのとおり。評価したいポイントをもつ曲はコロナ禍といえど投票曲以外にあったので、それらに下記のような部門賞を贈ります。

ブライテストホープ:宮本佳林

個性を確立するというのは、金太郎飴になるということと紙一重、どころか同質そのものだと思う。宮本佳林はもはや何を歌っても宮本佳林。ハロプロで吸収できることはすべて吸い尽くした、だから旅立つ、というこの境地。鴻上会長ならこう言うね、“ハッピーバースデー宮本くん!ハロプロの主席修了生!”と。

ベストアルバム:Soleil

1stでは個人的な好き嫌いを無邪気に自己主張。2ndでは世の中で生きていくということを内省。そして3rdとなる本作では世界に対して物申すべきところは申すように。着実に成熟へ向かっているのが分かる充実作。


ベストアレンジ:スタートライン

何の変哲もないビートロックといえばそうだけど、余分な前奏、無駄な間奏、邪魔な後奏が入ってしまわないよう十分に気をつけているのがよく分かる。

ベストインストゥルメンタル:エゴイスティック

ヴォーカル抜きだとこれも実はEW&F歌謡だということが判って楽しい。

ベストイントロ:OH・SHA・RE

まあ出オチっちゃあそうですが。

ベストカバー:ポップミュージック

実は原曲は洋楽ダンスミュージック引用なんかしてない。KANのオリジナルから忠実に引き継いだのは鳩要素だけ。でもそれが、洋楽引用だけだったらもしかしたらちょっとスノッブになっちゃってたかもしれない曲に、ちょっとのバカバカしさと大いなる泡沫(うたかた)感を引き留め置いてくれている。それがポップ音楽の要諦ってこと。

ベストコスチューム:ポップミュージック

銀色のピンク・レディー風のほうじゃなくて、チェック柄のほう。BCRインスパイアのほうです。

ベストコラボレーション:鈴木雅之 feat. 鈴木愛理

アニサマには出れなかったけど、紅白には連れてってもらえなかったけど、それでもマーチンには足を向けて寝れない。


ベストコレオグラフ:ビタミンME

「♪ないのだよ」に合わせて片腕ずつ真上→片腕ずつ真横に突き出す振付がかわいい。あれはチアダンスではスタンダードなムーヴなの?


ベストコンポーザー:山崎あおい

Juice=Juiceの代表曲となった「「ひとりで生きられそう」ってそれってねえ、褒めているの?」に続く提供ということでプレッシャーはあったのではと思うが、「好きって言ってよ」はアイディアの量的豊富さを見せつける貫禄の作曲テクニック見本市であった。この人はホント引き出しが尽きんなー。

ベストジャケット:どのみちハッピー! / 雨に唄えば / 愛について考えるよ / エンドロール

『カントリー・ガールズ大全集①』通常盤と迷ったんだけど、あれはカントリー・ガールズじゃないと成立しないジャケットデザイン--特に衣装--であるのに比して、こっちのかわいさは再現性がある。よって、僅差でこちらの勝ち。

どのみちハッピー! / 雨に唄えば / 愛について考えるよ / エンドロール by アップアップガールズ(2)

ベストシングル:ルーレット

通常盤3種に1曲ずつ分散収録されているAdditional Trackがどれも最高。

ベストセルフカバー:ポツンと

「ポツリと」同様アップテンポなアレンジだったので、歌がリズミカル過ぎたらどうしようと思っていたのだが、そんなことはなかったのでよかった。

ベストセルフリメイク:続いていくSTORY(Symphonic Version feat. Karin)

アコースティックアレンジというのはアップフロントワークスがやりたがる癖の一つで、出来には正直波があるけど、これはなかなかよかった。特にイントロが。

ベストソロヴォーカル:人間関係No way way - 加賀楓

2019から急激に人気を上げてきた加賀楓に今年やってきた、たった1小節の決定打「♪伝わらない!」。サリオキス路線に引導を渡した。

ベストタイトル:#ひま粒し

発案当時、ハッシュタグとして巧いなと思いました。それがまさかそのまんま曲名になるとは思わなかったけど。

ベストダンス:ルーレット(Dance Practice Video) - 夏焼雅

段違いにしなやかなダンス。最小ムーヴで最大の魅せ方を発揮する天性の勘。


ベストプレイ:GIRLS PRIDE

Aメロでだけ鳴ってるエレキカッティング。えらいナスティなギターで超カッコいい。あたしゃ分かるんだけどね、こいつはそうとうのワルだね。

ベストフレーズ:ナインティーンの蜃気楼 - かわいくなってるじゃんか

淋しくて、焦って、つい逆ギレしかけたんだね。わかるわかるよ樹々の気持ち(小池徹平)。

ベストプログラミング:Va-Va-Voom

外国レコーディングしてきた日本人アーティストが、向こうはきっっちり詰めるところとビックリするくらい雑なところのメリハリがスゴいんですよ! と喧伝する、というのはよくある光景だけれども、それの最新版がここに。このラフなプログラミング!

ベストプロデュース:パラレルデート

アルバムのクライマックスにやってくるこじらせソング。音楽は淡々としているのに歌だけ独りで妄想の底に堕ちていく。良くも悪くも、こういう世界をどうしてもやってみたかったんだろうなあというのは伝わる。ソロアーティストになったんだからこれくらい当人の趣向を前面に出していいと思う。鈴木愛理は「Let The Show Begin」でも《どんなにしつこく思われてもやりたいことをやり続ける》という頑固なアティテュードが出まくっていた。

ベストミックス:ミラー・ミラー

すごく無茶な転調をしてる割に全体的にコード感が希薄な曲だが、大音量で聴けばちゃんとエレタムが鳴り渡って上モノがカラフルになるようにミックスされている。つまり意図どおり。

ベストユニゾンヴォーカル:恋のUFOキャッチャー

新沼希空をメインに据えていて新鮮。こういうチャレンジは他グループもどんどんどんどんやってほしい。

ベストラップ:BLACK OUT - 小林ひかる

選んどいてなんだけど、これ1曲では彼女の実力の全体像は分からない。「OH・SHA・RE」のラップと、ラップではなく歌メロなんだけれども、夏焼雅と対等にソロパートを分け合っている「マイネームイズアイデンティティ」、これら3曲を聴くと最低限は分かるかも。

ベストリリシスト:和田彩花

声音に魅了されて聴いているので、CDが発売されていない現状では歌詞をしっかり読んでは正直いないし、また聴き取ろうと頑張ってもいないけれども、でも、柔らかい言葉の途中に堅苦しい熟語をわざと入れ込んでフック感のコントロールを試みるバランス感覚があることとかは、聴いてて分かるよ。リフレインされるメロディラインだから譜割を勝手に変えちゃいけない、とか、ここは変えて平気な箇所だから私の入れたい言葉を優先しちゃおう、とか、ここは私の音域だとファルセットになる箇所だからファルセットが出しやすい母音で1コーラス目も2コーラス目も揃えなきゃ、とか。こういうのは大学で読書にふれてボキャブラリが増えたからといって急にできるようになったりするもんじゃないので、とすると、そういうところに気配りするセンスはもともと備わってたのかな。


ベストリリック:マイネームイズアイデンティティ

“世の孤独をこれ以上増やすな”“世の意識をこれ以上下げるな”--孤独はある、そして増えている。意識は下がっている、既に危険水域にある。だからせめて、これ以上増やすな、下げるな。このマイナスの現実認識を出発点にする勇気がまさに《今》求められていることだろう。インディーズラストシングルとなった「トウキョウ・コンフュージョン」で曲中登場人物を“そういう考え全然おしゃれじゃない もうそういう考え全然時代じゃないわ”と、ちょっと唐突なまでに完全否定していたことはここにつながるのだな。

次点で「だけど会いたい」。玉城千春の激情を垂れ流す言葉遣いが、ギョッとさせられつつも心地よかったりした。

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